映画「愛の流刑地」

渡辺淳一の同名の小説の映画化です。男は,「本当に愛しているなら,私を殺して」との言葉に誘われて女の首に手をかけます。そして女は息絶えます。それから5時間後に110番して自首します。その後の取調べや裁判の模様を描いています。

監督・脚本:鶴橋康夫,出演:豊川悦司,寺島しのぶ,長谷川京子,中村トオル,佐藤浩市,陣内孝則,浅田美代子,佐々木蔵之介,貫地谷しほり,本田博太郎,余貴美子,富司純子,津川雅彦ほか,主題歌:「哀歌(エレジー)」平井堅(作詞・作曲:平井堅)

村尾菊治(豊川悦司)は小説家でしたが,今では原稿も書けず,妻や娘とは別居して,大学講師と雑誌のアンカーマンとして細々と生活していました。入江冬香(寺島しのぶ)は見合い結婚してエリートサラリーマンと子供三人と平凡な生活を送っていました。

二人が出会い,愛し合い,菊治がこの愛をテーマにした小説「虚無と情熱」の原稿を書き始めます。そして冬香を殺めます。そこには出版を拒否された原稿と二人の愛を録音したボイスレコーダーが残っていました。綾部検事(長谷川京子)の取調べや法廷での菊治とのやり取りなどでストーリーが進行していきます。

この映画の始まりは幻想的なベッドシーンです。その後も刑事・検事の取調べ,法廷での審理の中で回想する形でベッドシーンがあります。女性だけの試写会が行われ,また,ZAKZAK(2007/1/15)によれば,「大阪・難波のシネマコンプレックス「TOHOシネマズなんば」に女性専用シアターがお目見えした。配給元の東宝によると,全国公開の邦画では初めて。大胆な性描写が多く,男性の目を気にせず鑑賞してもらうのが狙い」とのことです。

豊川悦司と寺島しのぶの文字どおりの体当たりの演技が見どころでしょう。他の出演者もベテランぞろいでよい映画に出来上がっています。特に,寺島しのぶが普通の主婦から恋愛をしてきれいになっていき,さらに妖艶になる役柄をうまく演じています。それにしてもよくこの役を引き受けたものと感心しています。また,富司純子との親子競演ですが,役柄も親子を演じています。冬香が家を出かけるシーンで,母親が娘の心情を察して声をかけます。娘の表情が変わり先行きを予感させます。

実際の法廷は陰気で暗いイメージがありますが,映画ですから検事も弁護士も華やかな雰囲気を出しています。裁判官役は現実の法廷と同じ雰囲気を感じさせ,厳かな裁判とのイメージを保っています。長谷川京子が検事役を無難に演じています。それにしても彼女はチャーミングですね。出番は少ないのですが,バーのママの菊池麻子(余貴美子)の台詞やしぐさなど存在感がありました。

法廷のシーで,「あなたは死にたくなるほど人を愛したことがあるんですか」との台詞が印象に残っています。この映画のポスターのキャッチコピーは,「もう,だれにもさわらせない」です。

映画「愛の流刑地」の公式サイトの「女性限定特別試写会:寺島しのぶトークイベント(2006年12月19日)」によれば,「場内の選ばれた100名の方々が参加して,質問に答えてスイッチを押す方式のアンケートで,「現在不倫している,もしくは不倫の経験があるという方」が100人中21人あったようです。5人に1人です」(要旨)。そういう時代なのですね。女性の一部に男の不倫を非難しつつ,「女の不倫は純愛で美しい」と女性の不倫を擁護する主張もあるようですが,バランス感覚を欠いた意見です。男も純愛なのですが!

江戸時代の「不義密通」は男女とも死罪という時代にも不倫はありました。もっとも親告罪ですから実際に死罪になった例は少なかったようです。歌舞伎・人形浄瑠璃の劇作家「近松門左衛門」の作品の中にも不義密通をテーマにしたものがあります。

よくできた映画だと思いますが,ヒットするか否かは女性客しだいでしょう。

「愛の流刑地」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

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この記事へのコメント

たんぽぽ
2007年01月16日 08:00

おはようございます。
渡辺淳一と聞いただけで「内容」が、解るような気がしました。
やっぱり。。。と。

こちらも気になりました。5人に1人が不倫?ほんとかなと。
昔は不倫と聞けば男の人専用語でしたが、今は「男女差」がないのですよね。

不倫は男の方も純愛なのですがか。女は「純愛」かな?ちょっとあやしい。。。朝から、怪しい話題でごめんなさい。



夢楽
2007年01月16日 11:37
たんぽぽさん こんにちは 
原作渡辺淳一の映画は他の人に勧めていいものかと悩みます。渡辺淳一氏は「映画化された作品の中では,この映画が一番いい出来だ」とおしゃっているようです。不倫の経験者が5人に1人いたのは,あの会場での比率ですが,モラルの低下が言われていますから昔に比べると多くなっているのでしょうね。